看護職員の動向を徹底分析!熊本の現状と今後の注目すべき3つのポイント

 2025年問題の時期を迎え、日本はいま高齢者人口増加の転換期を迎えています。
 高齢化が進む中で、看護職員の動向は地域医療の持続性を左右する重要な指標となっています。
「熊本の看護職員は今どれくらい足りているのか」「今後看護職員不足を防ぐための対策とは?」といった不安や疑問を感じている方は少なくありません。

 本記事では、看護職員に関する最新の統計や政策動向をもとに、以下について解説していきます。

・熊本における看護職員の動向とは?
・看護職員不足を防ぐための今後の注目すべき3つのポイント

 熊本における看護職員の動向については、特にこの10年間での変化に注目し、解説します。
 医療現場で働く方はもちろん、地域の医療体制に関心のある方にとっても有益な情報をお届けします。

この記事を書いたひと:shannmama

熊本における看護職員の動向と現状分析

 熊本県では、2年毎に提出が求められている看護従事者届のデータを元に、看護職員の動向を公表しています。
 ここでいう看護職員とは、保健師、助産師、看護師、准看護師の4つの職種をいいますが、今回は看護師と准看護師の就業看護職員数の動向について見ていきます。

就業看護職員数の推移と変化

 まずは、過去35年間の熊本県における就業看護職員数の推移をみていきましょう。

引用:熊本県ホームページ

 熊本県における就業看護職員数は、毎年増加傾向にあることがわかります。
 さらにこの10年の間に、私たちはコロナ禍を経験しています。

 心身ともに疲弊し、離職した看護職員もいる一方で、改めて看護職の重要性を感じた人や、他の職種から専門職の資格を目指した人もおり、全体として就業看護職員数に大きな変化はありませんでした。

 しかし、高齢化の進行により医療・介護の需要は年々増加しており、職員数の増加が需要の伸びに追いついていない状況があります。

 加えて在院日数の短縮化により、医療依存度の高い在宅療養者が増加しており、訪問看護などの在宅ケアの分野では、慢性的な人材不足が続いているのが現状です。

 また、准看護師については、平成14年をピークに減少しています。疾病構造の変化や高齢化により、看護の対象者は複雑かつ多様化し、医療ニーズは高まっており、こうした社会の変化や医療ニーズに応えるためには、現在の准看護師養成では教育内容や時間ともに不足している状況にあります。

 日本看護協会では、今後のさらなる医療ニーズの変化に備えて、正看護師への一本化を掲げるとともに、看護師と准看護師において法律で定める業に即した業務分担や協働の推進に取り組むことを重点課題としています。

 准看護師養成所から看護師養成所への転換を促進するとともに、現在活動している准看護師の研修や進学支援にも取り組んでいます。

地域ごとの偏在と人材不足の実態

 次に、保健所管轄区域別の看護職員就業数を見ていきます。比較として、各保健所管内区域ごとの人口もそれぞれ出してみました。

【令和4年の保健所管轄別人口と職種別就業数】                                〈単位:人〉

保健所管轄区域人口看護師就業数准看護師就業数
熊本市737,85013,0013,034
有明149,9391,787673
山鹿47,634527342
菊池188,6032,135586
阿蘇57,331485335
御船81,739723506
宇城100,7261,045550
八代131,1081,751929
水俣41,441832320
人吉78,532842702
天草102,8631,458694

参考:熊本県ホームページ

 看護師は熊本市に次いで、菊池、有明、八代管内で看護師数は確保されており、人口に比例していることがわかります。

 一方で准看護師の就業数は、熊本市に次いで、八代、人吉、天草管内の順に多く、地方での就業率が高いことがわかります。地域に根付いた「かかりつけ医」の中においては、准看護師のニーズは大きいといえます。

 山鹿や阿蘇地域では、人口に対し看護師、准看護師ともに就業数が少ないのが目立ちます。熊本市やその周辺では一定の人材が確保されている一方で、人口減少や高齢化が進む地域ほど看護師の確保が難しく、医療の地域格差が広がる要因となっています。

他県との比較で見える熊本の特徴

さらに、熊本県の人口10万人あたりの就業看護職員数の推移を見ていきます。

引用:熊本県ホームページ

 熊本の人口10万人あたりの就業看護職員数は、全国5位という結果でした。
 職業別では、看護師は6位、准看護師は1位と高く、これは熊本が人口10万対あたりの病床数が多いためと考えられます。

 就業看護職員数が多いことによるメリットは以下です。

質の高い医療の提供: 看護師の数が多いことは、患者一人当たりの看護師の配置数を多くできる可能性があり、より手厚いケアや質の高い医療提供につながる。
・医療のアクセス向上: 多くの看護師がいることで、医療機関の受診や在宅医療の利用がしやすくなる可能性がある。
・災害時の対応力: 災害が多い地域である熊本において、医療従事者の数が十分であることは、災害医療体制の強化にもつながる。

就業率は在宅の分野で増えている

就業場所別の就業看護師数の推移をみていきます。

【看護師】

引用:熊本県ホームページ

【准看護師】

引用:熊本県ホームページ

 10年の間の変化を見ると、看護師、准看護師ともに伸び率が最も高いのは、訪問看護ステーションです。
 10年前と比較し2倍以上に増えており、これは、在院日数短縮化の流れによるものと考えられ、在宅分野への関心が高いことを意味しています。

 しかし就業場所全体からすると訪問看護師の割合は低い傾向にあり、在宅医療体制の充実度という観点では課題が残ります。

今後注目すべき3つの看護職員動向

 看護職の育成および離職を防ぐための取り組みとして、以下の3つの視点で解説します。

・働き方改革と職場環境の改善への取り組み
・ICTや他職種連携による業務の効率化
・若手人材の育成・地域定着を目指す戦略

 各都道府県ごとに、看護職員の確保のために様々な取り組みがなされています。

 熊本県においては、地元への就業を促進するため、病院訪問や就業ガイダンス等を積極的に行うための助成金を確保したり、看護学校の専任教員の指導能力向上のための研修会に対する経費の確保などの取り組みがなされています。

働き方改革と職場環境の改善への取り組み

 熊本県内の医療機関や施設では、働き方改革の一環として、柔軟なシフト体制や短時間正職員制度の導入が進められています。

 子育て世代や復職希望者にとって働きやすい環境づくりが注目されており、今後は福利厚生やハラスメント防止策の強化がより重要になります。これにより、長期的に働き続けられる職場を目指す動きが加速しています。

ICTや多職種連携による業務の効率化

 ICT技術の活用によって、記録業務や情報共有の効率化も進んでいます。
 電子カルテやモバイル端末を使った訪問看護の記録システムは、看護職員の業務負担を軽減する手段として有効です。

 また、ICT活用により医師や介護職などとの連携を強化することで、業務の分担と情報共有がスムーズになり、チーム医療全体の質が向上します。

若手人材の育成・地域定着を目指す戦略

 看護職員の長期的な確保には、若手人材の育成と地元定着が欠かせません。

 熊本県では、奨学金制度やUターン支援策を活用し、地元での就業を促進しています。
 具体的には、看護学生の県内就業促進の取組み(病院訪問、 就業ガイダンス等)に対する助成金を確保するという対策がなされています。

 また、地域密着型の実習や研修を通じて、地域医療の魅力を伝える取り組みも進行中です。これらの施策が実を結ぶことで、安定的な人材確保が期待されます。

まとめ

 熊本県における看護職員の動向についてのまとめは、以下です。

・熊本県の就業看護職員数は増え続けている
・社会の変化や医療ニーズに備えるために、日本看護協会は准看護師の進学支援体制の整備に取り組んでいる
・人口10万人あたりの就業看護職員数は、熊本県は全国5位である
・就業場所別では病院が半数以上を占めているが、この10年の伸び率は訪問看護ステーションが最も高い
・若手の育成と離職を防ぐために、今後注目すべき3つのポイントは、「職場環境を整える」「ICTの活用」「若手人材の育成」である

 今も看護職員は増え続けていますが、社会の変化に伴う医療ニーズに追いついていないのが現状であり、熊本県としても様々な取り組みがなされています。

 今後も国や熊本県の取り組みに注目しつつ、現場でも働きやすい職場作りを目指していきましょう。

この記事を書いたひと:shannmama

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