「訪問看護の仕事に興味があるけれど、自分に向いているのか分からない…」そんな疑問を持っていませんか?自宅でケアを提供する訪問看護は、専門的な知識だけでなく、コミュニケーション力や判断力も求められる仕事です。
本記事では、現役の訪問看護師が、訪問看護に向いている人の特徴や必要なスキルを詳しく解説します。現場で求められる具体的な能力や、未経験からでも活躍できるポイントについても紹介。
これから訪問看護の仕事に従事する予定の方、また興味のある方も、ぜひ参考にしていただけると嬉しいです。
この記事を書いたひと:shannmama
訪問看護の目的とは?病院勤務との違いについて
訪問看護の目的と役割
訪問看護の目的と役割は以下の通りです。
訪問看護とは、看護師などが居宅を訪問して、主治医の指示や連携により行う看護 (療養上の世話又は必要な診療の補助)です。 病気や障がいがあっても、医療機器を使用しながらでも、居宅で最期まで暮らせるように多職種と協働しながら療養生活を支援します。 引用:日本訪問看護財団HPより |
訪問看護とは、病気や障害があっても、住み慣れた家で暮らしたいと願う方を支える仕事です。
病院勤務との違いとは?
病院と訪問と両方を経験してきた私が思う、病院勤務との大きな違いは次の3つです。
①じっくりと関わることができる ②家族と関わる機会が多い ③ケアを提供する環境が限られる |
訪問看護では、医師の指示のもと必要なケアを行いますが、医療保険や介護保険の制度に基づき、それぞれ提供時間が決まっています。
限られた時間内ではありますが、その間は利用者様とじっくり向き合うことができます。利用者様のご家族様と関わる機会が多いのも、訪問看護の特徴です。
ご家族様との何気ない会話から、利用者様の人となりを知ることができることができます。また訪問看護では医療物品が限られているため、身近なもので代用することもあります。
ケアを提供する環境の違いも、病院と訪問との大きな違いの一つと言えます。
→訪問看護と病院勤務との違いについての詳しい記事はこちら
訪問看護で働くのに向いている人の特徴
訪問看護で働くのに向いている人の特徴について、3つお伝えします。
①利用者様とじっくり向き合いたい人 ②周囲に相談できる人 ③仲間に関心を持てる人 |
①利用者様とじっくり向き合いたい人
訪問看護で働くのに向いている人の特徴の1つ目は、利用者様とじっくり向き合いたい人です。
病院勤務では、タイムスケジュールを立てても、同時に複数の患者様の対応を強いられることもあります。不安をたくさん抱えて入院されている患者様の思いに、じっくり耳を傾けることができなかったのが、病院勤務時代の私の中での葛藤でした。
一方で訪問看護では、その時間いっぱい目の前の利用者様のために時間を使うことができます。
利用者様とじっくり向き合いたい人は、訪問看護で働くのに向いています。
②周囲に相談できる人
訪問看護で働くのに向いている人の特徴の2つ目は、困ったときに周囲に相談できる人です。
訪問看護は、基本的に1人で訪問することが多いです。
常に判断力が求められますが、決して1人で抱え込む必要はないと思っています。その場で他のスタッフに電話連絡し、アドバイスをもらったり、応援要請をすることもできます。
また緊急時の対応を強いられる場面もあります。その場合、次の利用者様の訪問に遅れる可能性があります。その場は1人で乗り切れたとしても、結果的に迷惑をかけてしまう可能性もあるため、困ったときにこそ、周囲に相談することは大事です。
困ったときには助けてもらい、嬉しいことがあったときには共有する、そんな周囲に相談ができる人は訪問看護で働くのに向いています。
③仲間に関心を持てる人
訪問看護で働くのに向いている人の特徴の3つ目は、仲間に関心を持てる人です。
訪問看護に関わるスタッフは、それまでの経験部署や、年齢、価値観の異なっている者同士が集まっています。
1人の利用者様に関わる仲間として、お互いの経験や価値観を理解する姿勢がとても重要です。
それぞれの経験を活かしてケアを考える、利用者様にとっても私たちスタッフとしてもこんなに心強いことはありませんね。
利用者様に最良のケアを提供するために、仲間に関心を持ち一緒に考えていくことはとても大切です。
また訪問看護の仕事は、基本的に1人で訪問することが多いですが、利用者様には日頃から様々な職種の方が関わっています。
引用:厚生労働省HPより
多職種の例
医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、ケアマネージャー、介護士、介護福祉士、通所リハビリテーション職員、福祉用具専門相談員、精神保健福祉士、保健師、ケースワーカーなど |
訪問看護は、利用者様を通してこんなにも多くの職種の方と関わります。
多職種との連携も重要な仕事であり、情報共有が大切です。自身の専門性でもって意見を述べつつ、他職種の方の意見も柔軟に取り込む姿勢が必要です。
仲間に関心を持てる人は、訪問看護で働くのに向いています。
訪問看護で働くために必要なスキルと資格
<訪問看護師に求められる基本スキルと知識>
看護職としての基本知識があれば、特別なスキルは必要ありません。
訪問看護師になる前に看護職としての勤務経験がある人は、それまでの経験の全てが訪問看護の様々な場面で役に立ちます。
訪問看護では介護保険、医療保険などの制度の知識は必要です。しかしこれについてはあまりに範囲が広いので、入職前の事前勉強としては難しいのが正直なところです。
働き始めると、自ずと制度についての疑問が湧いてきます。実例にあたって、そこで調べて初めて身に付くものだと思っています。
私も実際に「あの方は週2回入っているのに、この方は週1回しか入れないのはなぜ?」「この方は毎日訪問看護が入っているけど、一体どんな制度を使っているのかな。」「1人の利用者様に3ヶ所の訪問看護事業所が入っているけど、どういうこと?」など、働きながら様々な疑問にぶつかりました。
その都度調べて、「なるほど!」と解決し、自分の中で知識として増えていくたびに、とても充実した気持ちになります。
高齢化社会の昨今、介護に関する制度は日々見直されています。ニュースでも必ず取り上げられる問題なので、介護に関する最新の情報に敏感に反応することが大事です。
<必要な資格と経験>
訪問看護師になるには、看護師または准看護師の資格が必要です。
精神科訪問看護に特化している訪問看護ステーションも数多くあります。精神科分野を経験したことがなく、訪問看護に入職する方も多くいます。
精神科訪問看護を行うには、ある一定の条件を満たす必要があります。
精神科分野での経験を1年以上有するもの、もしくは『精神科訪問看護基本療養費算定要件研修』を受けたものという条件があります。
精神科分野での経験がなくても、研修を受ければ精神科訪問看護に回ることは可能になります。
<訪問看護で長く働くための職場の選び方や働き方>
数ある分野の中から訪問看護を次の職場として選んだのなら、ぜひとも長く働いてもらいたいと思っています。
そこで病棟と訪問の両方を経験した私が、訪問看護の職場の選び方や働き方について、次の3つの視点からお伝えします。
①訪問看護ステーションの選び方 ②初めての訪問看護で気をつけるポイント ③訪問看護師として長く働くためのコツ |
①訪問看護ステーションの選び方
訪問看護ステーションには、事業所ごとに特色があります。小児看護や精神科看護に特化したステーションなどもあり、公式HPや最近ではSNSに力を入れている事業所も多数あります。
そのほか勤務体制や訪問エリア、サポート体制などをしっかり確認し、自分に合った職場を選びましょう。
最近では入職前に体験という期間を設けているステーションもあるため、一度体験してみてはいかがでしょうか。
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②初めての訪問看護で気をつけるポイント
初めての訪問看護で気をつけるポイントは、基本的なマナーです。
病院勤務と違い、訪問看護はその方のご自宅にお邪魔させていただく仕事なので、挨拶や靴の並べ方など、マナーにはより一層気を配る必要があります。
こういうと構えてしまうかもしれませんが、利用者様によっては他人を家にあげることに抵抗がある人もいます。
少しずつ信頼関係を築いていくためにも、挨拶など第一印象は大事です。看護師としてのスキルも大事ですが、人としての基本的なマナーは押さえておく必要があります。
③訪問看護師として長く働くためのコツ
訪問看護師として長く働くためのコツは、常に学ぶ姿勢を忘れないことです。
病院やクリニックでは、診療科ごとに分かれていることが多いですが、訪問看護では外科、内科、精神科、小児科など、ほぼ全ての診療科の利用者様に関わります。
知らないことも多く、初めての経験もたくさんあるでしょう。でもそこで「私、わからないから…」と言うのではなく、そんなときこそ自分の知識を増やせるチャンスです!
訪問看護師として経験を重ねるたびに知識やスキルが増え、あなたの看護師としての魅力がアップすること間違いなしです!
まとめ
『訪問看護で働くなら知っておきたい!向いている人の特徴と必要なスキルを徹底解説!』についてのまとめは以下です。
・訪問看護では、利用者様とじっくり関わることができる ・訪問看護で働くのに向いている人は、周囲に相談ができ、一緒に働く仲間に関心が持てる人 ・訪問看護で働くのに特別なスキルは必要なく、それまでの経験全てが役に立つ ・訪問看護で長く働くためには、基本的なマナーを忘れず、常に学び続ける姿勢を持つことが大切 |
訪問看護は、病気や障害があっても、住み慣れた家で暮らしたいと願う方を支える仕事です。
利用者様の生活スペースにお邪魔させていただくことで、よりその人らしさを感じることができ、常に利用者様と一緒に考えながらより良いケアを提供することができます。
訪問看護に興味があるというその思いがあれば、きっと大丈夫です。ぜひ訪問看護の素晴らしさや楽しさを感じていただけると嬉しいです。