「訪問看護の仕事は大変って聞くけど、本当のところはどうなの?」「やりがいを感じる瞬間はあるの?」と疑問を抱えていませんか?訪問看護は利用者様の自宅で医療サービスを提供するため、病院勤務とは違った難しさがある一方で、大きなやりがいを感じられる仕事です。
本記事では病院勤務歴のある現役の訪問看護師が、訪問看護で働くのは大変と思われる理由と、それを上回るようなやりがいを感じる瞬間について紹介します。訪問看護について知って、ぜひ自分に合ったキャリアの選択肢の一つとして参考にしてくださると嬉しいです。
この記事を書いたひと:shannmama
訪問看護で働くのは本当に大変?
訪問看護とは、利用者様のご自宅に訪問して医療サービスを提供する仕事です。病院勤務とは違った難しさがあり、「訪問看護は大変そう…」と言われることも多々あります。
なぜ訪問看護は大変と思われがちなのか、病院勤務歴のある現役の訪問看護師が、訪問看護の仕事内容や病院勤務との違いについて詳しく解説します。
→訪問看護を利用するメリットについての記事はこちら
訪問看護の仕事内容とは?
訪問看護は、主に利用者様の自宅を訪れ、病状の観察、医療処置、リハビリテーション、服薬管理などを行います。利用者様の生活環境や家族構成を把握しながら、個別に適切なケアを提供することが求められます。そのため、病院勤務よりも利用者様との密接な関係が築かれることが特徴です。
訪問看護と病院勤務との違い
病院勤務と訪問看護の違いについて、実際に働いてみて特に感じた以下の3点についてお伝えします。
①看護を提供する環境の違い ②物品が整っているかどうか ③家族看護 |
それぞれ詳しくみていきましょう。
①看護を提供する環境の違い
引用:photoAC
病院では空調や照明は整備されており、常に快適な空間での業務が可能です。
一方訪問看護では、ご自宅によっては空調や照明が不十分な部屋もあります。決して快適な空間とは言えないこともありますが、「電気をつけさせていただいてよろしいでしょうか?」と聞いて断られることはほとんどありません。訪問時間に合わせて、わざわざエアコンをつけて待っていてくださるご家庭もあります。
もちろん不便を感じることもありますが、その方のお宅にお邪魔させていただいているという思いと日頃の信頼関係で、大方解決できる問題だと感じています。
②物品が整っているかどうか
引用:photoAC
病院では、必要な医療物品や設備は常に揃っている状況ですよね。
一方訪問看護では、医療ケアの際には身近なもので代用するなど、工夫が必要です。
【代用例】
・点滴スタンド:カーテンレールにS字フックをかける、ハンガーを逆さにして使う ・洗浄ボトル:ペットボトルの蓋に穴を開ける |
「代わりになるものはないかな」と常に考え、発想が湧いてくるのも楽しいものです。子どもが小さいときに使っていたピクニックシートも、足浴バケツの下に敷いたりして使っています!
③家族看護
引用:photoAC
病院勤務では面会の時にご家族にお会いする程度ですが、訪問看護では医療ケアの提供の場にご家族がいらっしゃることも多いです。
ケアの様子を見られているという緊張感はありますが、ご家族間の会話から利用者様の意外な一面を知ることもあり、情報を得る貴重な機会にもなります。
在宅での生活は24時間看護師が付き添うわけではないので、ご家族の協力が必要不可欠です。ご家族の困りごとにも対応することで、信頼を得るきっかけになることもあります。
訪問看護が大変だと感じる理由
訪問看護が大変だと感じる理由について、以下の3つに分けてお伝えします。
①移動やスケジュール管理の負担 ②利用者様ごとの対応の難しさ ③1人で判断を求められる場面 |
それぞれ詳しくみていきましょう。
①移動やスケジュール管理の負担
訪問看護では、1日の中で複数の利用者様のもとに訪問するため、移動が多く、スケジュール管理が非常に重要です。
主に車が移動手段となる地域では、交通渋滞等により予定通りに訪問できないこともあり、柔軟に対応する必要があります。車の運転や道を覚えることに自信がない方には、移動は負担となり、大変と感じてしまうかもしれません。
私は元々車の運転が好きで、道を覚えるのも得意な方なので、移動は全く負担になりません。むしろ景色を楽しんだり、移動は良い気分転換になっています。
引用:ぱくたそ
②利用者様ごとの対応の難しさ
訪問先はそれぞれ生活環境も異なり、利用者様の状態やニーズもそれぞれ異なります。
例えば入浴介助の場面では、浴室の環境も様々で、浴槽の形や洗い場の広さなど、ご家庭により違います。しかしそこは、福祉用具をうまく利用するなどして解決できるケースもあります。
病院よりも、より個別対応を重要視される場面が多いですが、利用者様やその家族とのコミュニケーションを大切にしながら、最適なケアを一緒に考えていくことで喜びを感じられます。
③1人で判断を求められる場面
訪問看護では、利用者様のケアを1人で行うことが多いため、緊急事態においても自己判断を求められます。適切な対応をするため、しっかりとした知識と冷静な判断力が必要です。
これは私もかなり不安なところでした。しかし実際に働いてみて、確かに訪問は1人で行いますが、その場で他のスタッフに電話で相談することはできるし、駆けつけてくれることもあります。
不安が強いときには、最初から同行をお願いすることもありますが、快く引き受けてくれるスタッフがほとんどです。
訪問看護で働いて、やりがいを感じる瞬間とは?
訪問看護は大変な一面もありますが、それ以上に充実感ややりがいを感じることができる仕事です。実際に働いていてやりがいを感じる瞬間はたくさんありますが、次の3つについてご紹介します。
①利用者様とじっくり向き合える ②自分のスキルを活かして柔軟なケアができる ③地域医療に貢献できる |
①利用者様とじっくり向き合える
訪問看護では、利用者様の生活の一部に関わりながら、一人ひとりに十分な時間をかけてケアができます。病院勤務と違い個別対応が可能なため、より細やかなケアを提供できます。
病院勤務時代には、1人の患者さんとゆっくり話をしたくても、他の患者さんの対応で呼ばれたり、そこに時間を割くことができなかったのが悩みの一つでした。
しかし訪問看護では、時間いっぱいその方だけに集中することができます。何気ない会話の中にも、その方を深く知るヒントが隠されており、例え雑談であっても大事にしたいと思いながら、日々働いています。
利用者様やそのご家族から感謝の言葉をいただけたときは、やりがいを強く感じる瞬間です。
→信頼を掴む対話のテクニックの記事はこちら
②自分のスキルを活かして柔軟なケアができる
訪問看護では、ほとんどのスタッフが他の医療機関で働いた経験があります。自分の経験してきた分野、得意とする分野のスキルを活かして、柔軟に利用者様へのケア内容を考えることができます。また様々な分野で学んできたスタッフがいるからこそ、それぞれのスキルを活かし、教え合うことができますよね。
訪問看護は医療物品の制限こそありますが、自宅という環境でのケアは、利用者様やご家族の了承が得られれば、ケア内容にほとんど制限はありません。
スキルを活かしてケアを提供し、ありがとうという感謝の言葉をいただいた時は、やりがいを実感できます。
③地域医療に貢献できる
訪問看護は、地域医療の一役を担う重要な仕事です。利用者様が住み慣れた環境で安心して過ごせるよう支援することで、地域医療に貢献できます。
病院ではなく、自宅で療養したいと考える方は増えています。その中で訪問看護師は、医療と生活の橋渡し役として重要な存在であり、利用者様が安心して暮らせるよう支援することに、大きなやりがいを感じられます。
リハビリや日常生活のアドバイスを通じて、自宅で生活を続ける利用者様を長期的にサポートし、安定した生活を支えられたときは、非常に大きな達成感を得られます。
また訪問看護では、利用者様やその家族、医師やケアマネジャーなど、多くの人と関わります。円滑なコミュニケーションを取ることで、より良いケアを提供しやすくなり、仕事のやりがいも増します。
→訪問看護ステーションが年々増えている理由についての記事はこちら
まとめ
『訪問看護で働くのは大変?現役訪問看護師がやりがいを感じる瞬間を紹介!』についてのまとめました。
・訪問看護では移動が多く、車の運転が苦手な人は大変と感じるかもしれない ・訪問看護ではより個別ケアを求められ、1人で判断する場面があることが大変と思われがち ・車移動は良い気分転換にもなり、困った時には相談できる環境が整っている ・利用者様やそのご家族からの感謝の言葉は、何よりの励みになる・利用者様の安定した生活を支えられたときに、大きなやりがいを感じられる |
訪問看護のやりがいを実感するためには、自分に合った訪問看護ステーション選びが大切です。
訪問看護ステーションには、事業所ごとに特色があります。勤務体制や訪問エリア、サポート体制などをしっかり確認し、自分に合った職場を選びましょう。
くまもとケアポータルは、訪問看護ステーションを1件1件取材して情報を載せています。ステーションの情報と、豊富な訪問看護師経験からあなたに合った働き方やステーション選びを無料でサポートしていますので、ぜひ連絡してみてください。
→転職無料相談はこちら
訪問看護は、利用者様の生活を支えながら、自分自身も大きなやりがいを感じられる仕事です。自分に合った環境を見つけ、スキルを磨きながら、充実した訪問看護ライフを送ってみてはいかがでしょうか?
この記事を書いたひと:shannmama