8歳〜102歳までを訪問してきた経験者が実践!信頼を掴む対話のテクニック3選

最も重要なのはコミュニケーションスキル

 訪問看護の現場では、緊急時の心肺蘇生や人工呼吸器管理、点滴など固有のスキルが必要な場面もありますが、全ての訪問時に求められるのはコミュニケーションスキルです。
 1回約30〜90分の訪問時間のなかで、必要な処置を行いながら体調や生活の情報を効率よく把握していくためには一定のスキルが求められます。それに、訪問看護は病院とは違い、看護師がご自宅にお邪魔させていただく立場であり円滑なコミュニケーションのもと、信頼を得られなければ受け入れてはくれなくなります。

 下は8歳の小学2年生から、上は102歳までの訪問看護を行ってきた私が、一般的なコミュニケーションスキルとは違うオリジナルで培ってきた信頼を掴む対話のテクニック3選をご紹介したいと思います。あくまで私個人の経験に基づく見解でありますので、その点につきましてはご了承ください。

結論

  1. 表情(笑顔 or 心配)
  2. 会話(ボリューム、スピード、方言)
  3. 表現(共感→共通→共鳴)

①表情(笑顔 or 心配)

 利用者様はこちらをあまり見ていないようにみえて、実はよく見ていらっしゃるものです。特に初めの頃は知識や経験云々よりも人として受け入れられそうか見定めておられます。そんなとき、やはり表情はファーストインプレッションから強いイメージを与えます。
 何のテクニックでもないと思われるかもしれませんが、大事な要素は、明るく元気がもらえそうな”笑顔”なのか、もしくは、自分のことを心から支えようとしてくれる”心配”なのか。この表情を使い分けることが言葉では伝えられない最初のメッセージになるのです。

 訪問看護事業者の皆様は、新人さんを訪問に連れて行っていきなりもうあの人は連れて来ないでくれとNGを喰らってしまう。そんな経験も多いのではないでしょうか。新人さんがうまく話せないのは当たり前で、手技や手順もこれから覚えるのでおぼつかないのは当然ですが、まず訪問している利用者様に向き合っておらず、不安を与えてしまうケースが多々あるのです。

 ”私はあなたのために来ている”というメッセージを表情で表すことは、基本のようで意識しないとできないことでもあります。

 ”笑顔”で明るさや活気を求めている方と、”心配”で気持ちに寄り添ってほしい方はそれぞれ異なりますので、どちらが良いのか、または、両方をみせていくのかは判断が必要となります。

②会話(ボリューム、スピード、方言)

 会話では、自身の声の大きさと、話すスピードを意識することで相手との距離をぐっと近づけることができます。高齢の方や精神的に落ち込んでいる方に対して、大きな声で次々と喋り続けるとどう思われるでしょうか。反対に、思春期の子どもや20〜30代の方に対して、小さな声でゆっくり時間をかけて話しているとどう思われるでしょうか。そう、それだけで鬱陶しく感じさせてしまうでしょう。

 最も簡単なテクニックは、相手と同じボリュームとスピードで話すということです。こうすれば、利用者様は安心感や親近感を抱きやすく、想いを引き出していくことにもつながっていきます。
 簡単そうに思われるかもしれませんが、話し方の癖は人それぞれ。相当意識していないと自然と早口になっていたり、大きな声になっていたりするものです。

 なお、”方言”についても人によっては信頼を掴むために有効になることが多いです。高齢者で方言を多用される方には、同じように方言を織り交ぜていけると会話も弾んでいくことでしょう。

③表現(共感→共通→共鳴)

 これが私が訪問現場で培ってきたオリジナル性の高いテクニックです。
 利用者様やご家族との会話のなかでは、キーワードになる表現があります。
 例えば「朝起きたときに腰の辺りがビキッとする感じがある」とお話しされたとします。それを「腰が痛いんですね」と勝手に要約してしまうと、利用者様からすれば、腰でもなく痛みでもないがと腑には落ちないでしょう。同じように「胸の辺りがゾワゾワする」という発言を「胸に違和感があるんですね」と話すと、そうではないと感じられてしまうかもしれません。

 まず初めに大切な【共感】では、相手の表現をそのまま受け入れることです。
 利用者様にとって「ビキッ」と「ピキッ」では違いがあり、「モワモワ」ではなく「ゾワゾワ」なのです。表現をしっかりと聞き入れてワードに共感していくことが距離を縮めます。

 次に【共通】では、上記の表現を繰り返す会話のなかで共通言語として使用していくことです。
 利用者様が「一昨日も朝起きたときに腰の辺りが…」とお話しされた際、「ビキッとしましたか」と伝えると、「そうそうさすが私のことを分かってくれている」と感じます。


 最後は【共鳴】です。表現を共通言語として使用していると「朝起きたときにいつも…」の発言のあとに、利用者様と看護師が揃って「ビキッとするんですよね〜」と言葉が見事に重なります。表現が共鳴し始めているほど相手を理解してコミュニケーションを図っているときには、既にお互いの信頼関係は構築され始めているでしょう。
 それは、「この人に話してよかった」「この人の言うことなら聞いてみようかな」につながっていくのです。

 キーワードとなる表現を捉えて、共感→共通→共鳴のステップを意識することで信頼度が一気に高まります。

 少しでも頭の片隅に置いていただけると役に立つ日が来るかもしれません。

以上、参考にしていただけると嬉しいです!

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